読書案内・新入生にすすめる本

読書案内・新入生にすすめる本

手軽にそして瞬時に情報を得られる機会があふれるいま、時間をかけて本を読むという行為は、「タイムパフォーマンス」なるものが低いと感じる方もおられるかもしれません。でも、読書は単に情報を与えてくれるだけではありません。本と対話しながら読み進める中で、自分自身との対話も促され、それは自分を見つめなおす機会にもなるのです。自分のために使う時間がふんだんにある大学生の間に、ぜひたくさんの本と出会い、本そして自分自身との対話を楽しんでください。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
読書は心を豊かにし、良書との出会いは一生の宝となります。そこで教養教育院教員から皆さんへ読書のすすめを書くことにしました。皆さんに是非読んでもらいたい本、自身の将来を考えるにあたって役立ちそうな本、授業科目に関連したテーマの本などをそれぞれの教員が思いを込めて紹介しています。気になる本があれば手に取ってみてください。本を介して皆さんと教員との距離が一歩近づくことを期待しています。
(※教員がすすめる本をクリックしてください。)

社会科学科目群

安藤 由香里 『法学への扉』『日本国憲法Ⅰ,Ⅱ』『始動学修:考察,実践』

 皆さんが、ニュースなどで見かける社会問題は、正解がひとつとは限りません。必ずしも正解があるとも限りません。立場が異なれば、どれも正解になり得る場合もあります。多様な視点から様々な検討をするためには、SNSやインターネットの情報だけでなく、本を読むことで新たな発見をし、報道に惑わされず、批判的に見る知識を蓄えてください。
安藤教員がすすめる本

1.開かれた入管・難民法をめざして:入管法「改正」の問題点

安藤 由香里,小坂田 裕子,北村 泰三,中坂 恵美子著 ,日本評論社2024年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
2023年の入管法「改正」は、国際人権基準から見て、どのような問題があるかを、多くの人に知ってもらうために、超大急ぎで書いた本です。日本の入管法、難民認定制度の問題を明らかにしています。本書は、教養教育の授業「国家と市民」の教科書として国家の役割や市民の役割を考えていきます。

2. こども六法の使い方

山崎 聡一郎著,弘文堂, 2021年
○○は犯罪だからダメと言われても、なぜダメかわからないと納得できませんよね。こどもになぜその行動がダメか説明するために、現代の社会問題についてわかりやすく大人向けに書かれています。「法」がなぜ必要なのかを考える出発点になるかもしれません。

3. 目で見る憲法 第6版

初宿 正典,大沢 秀介,高橋 正俊,常本 照樹,髙井 裕之,上田 健介著,有斐閣, 2024年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
憲法は、わたしたちの生活を守ってくれる大切なものですが、憲法に縛られていると勘違いしている人が時々います。朝ドラ「虎に翼」でも、憲法14条「すべて国民は平等で差別されない」の重要性が描かれています。難しいと思いがちな憲法について資料を見ながら考えてみませんか。

4. アクティブラーニング国際人権法

小坂田裕子,齋藤民徒,谷口洋幸,棟居徳子編,法律文化社, 2025年
「人権」は自分と関係ないと思っていまいませんか?国際人権法を楽しく学びたい人向けの入門書です。「第10章 難民と庇護希望者の権利」では、普段あまり接点はないかもしれない難民と庇護希望者についてやさしく説明しています。

5. 人文知のカレイドスコープⅨ

富山大学人文学部編,桂書房, 2026年
フランスのレンヌでは、大学キャンパス内で学生団体が無償の食品配布をしていることを知っていますか?「第2章 フランスの食品廃棄禁止法から日本社会への適用は可能か:レンヌ第2大学の調査から無償食品配布の可能性を考える」では、五福キャンパスに「富山のおいしい水」設置を皆さんに呼びかけています。

人文科学科目群

佐藤 香織 『現代社会論』『思想と倫理』『多様性と文化』『導入学修A』

 いままでに読んだ本で、印象的な本はありますか?どんなフレーズが心に残っていますか?友達に勧められたり、流行っているから買ってみたり、図書館でふと手に取ってみたり、本との出会いは様々です。その一冊一冊があなたの血肉になり、「読んでよかった」と思える本と出会えばそれだけ多く、その後生きていくための体力を培うことができます。願わくばあなたが大学生のうちに、何度読んでももう一度読みたくなる、そんな本と出会えますように。
佐藤教員がすすめる本

1. テトラローグ こっちが正しくて、あんたは間違ってる

ティモシ―・ウィリアムソン著 ,勁草書房,2022年 
塀が崩れてきてある人が怪我をしたとします。怪我をした人が「これは魔女の呪いのせいだ」と言ったとしたら、あなたは反論できるでしょうか?「このタイミングで塀がちょうど足に落ちてくる」ことを科学的に説明して魔女を信じる人を反駁することは意外に難しいかもしれません。ユーモアたっぷりに論争しあう4人の対話篇で哲学的な議論の進め方を学べます。

2. だれのための仕事 労働vs余暇を超えて

鷲田清一著 ,講談社学術文庫,2011年
仕事をすることは辛くて遊びは楽しい、と考える人は多いと思います。しかしそれは本当でしょうか?仕事と遊びは対立の関係にあるのでしょうか。本書はもともと、1996年という「就職氷河期」の時代に出版されました。「家事」や「ボランティア」などに触れながら、「仕事」の意味を考える一冊です。

3. 自分ひとりの部屋

ヴァージニア・ウルフ著 ,平凡社,2017年
もしシェイクスピアに妹がいて、兄と同じくらい文学的才能があったとしたら、彼女は作品を発表できたでしょうか? 20世紀初頭、厳しい境遇に置かれていた女性作家のひとりであるウルフは、「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」と考えました。なぜ彼女はそう思うに至ったのか。女性と「書くこと」の関係を考えるためのエッセイです。

4. 神さまと神はどう違うのか?

上枝美典著 ,ちくまプリマ―新書,2023年
信仰をもつ人にとっての「神さま」は、人の心のなかにいたりいなかったりします。他方、「神さま」を信じていない人であっても、「完全なもの」を「神」と呼んで「この世に神はいるのか」と問うことはできます。では、そんな「神」の存在を人はどのように考えてきたのでしょうか。現代認識論を専門とする著者がわかりやすく解説してくれます。

5. 増補改訂版 哲学航海日誌
野矢茂樹著 ,春秋社,2024年
「他人の痛み」を私は感覚的に体験することはできません。もし私が「痛み」を感じ取ったら、それは「私の痛み」になってしまいます。そうだとすれば、私にとって「他人の痛み」とは何を意味するのでしょう。「他者」とは何かという謎に取り組むための導きとなる一冊です。

谷口 美樹 『歴史の世界』『導入学修A』

 大学という新しい環境のもと、変化についていけなくて固まってしまったり、やりたいことがあり過ぎて空回りしてしまったり。このようなときにこそ本を読む。本を開いて文章をたどり、筆者と対話していくとき、これまでの自分とも対話していることに気づく。自分と世界とのつながりや、自分の在り方が顕かになっていく。そのような感触を読書によって体験することができるのではないでしょうか。読書するにふさわしい時機が、あなたに到来しています。
谷口教員がすすめる本

1.『現代思想 総特集 中井久夫1934―2022』第50巻第15号
樫田 祐一郎編
 ,青土社,2022年
寄稿者は、医学、哲学、美学、社会学、人類学と多岐にわたります。「中井さん言葉をむさぼり読んで、そして書きたくなったことを書いた」「中井先生の『本業』にかかわる文章を読んだ。それは何というか、腰の力が抜けてその場に座り込んでしまうような出会いだった」「自分が自分を診るその視線や手つきに中井さんが宿っている」 寄稿文の一節を引用してみました。併走者として中井久夫さんが存在するという感覚を味わってみるのはいかがでしょうか?

2.いつか死ぬ、それまで生きる わたしのお経
伊藤比呂美編
,朝日新聞出版2024年
「お経のことばの大本にある信心という心の動きが、思考を硬化させてゆがませているようで、それがまた不可解で、不可思議で、スリリングで、目が離せなくなりました」お経を読みはじめたときの伊藤比呂美さんのことばです。お経を手あたりしだいに読んでいき、声に出して読んで伝えたいと思った伊藤さんが現代語に訳したお経。そして伊藤さんのエッセイ。ことばにつつまれ、心が動きだします。

3.神さまたちの由来 日本「多神信心」のみなもと
木村紀子編
,集英社新書2026年
「新来・新出の神(仏)に、いかに対応するかは、それを「信じる」か否かといった心の問題ではなく、存在することには疑う余地もないその神(仏)を、『ゐやまひ(礼・敬)』『をろがみ(拝)』『まつる(祭)』か否かといった行為の問題だった」人々の想いや願いの在り方を、遺された文献の言葉から明らかにしていく。木村先生の考証に導かれ、「列島土着の神的感性の根強さ」を体感してみましょう。

4.源氏の女君 増補版
清水好子編
,塙書房,1967
身分の掟と人倫の掟。「この物語はそれら二つながらを、破ろうとする力で書きつがれてゆく。考えて見れば源氏物語の構想の底に動くのは荒々しいまでの破壊の情熱だった」紫式部の意思が文章となり物語として顕われる様や、紫式部や読み手たちが生きた平安京という社会の厳しさ。清水好子先生というあらまほしき先達が、源氏物語の世界へと導いてくれます。

自然科学科目群

彦坂 泰正 『物理学I~Ⅳ(A)』『化学・物理学実験』『学術情報リテラシーⅠ,Ⅱ』『導入学修A』

 私は普段、電車に乗ったときとかに軽い本を読む程度で、あまり本を読めていません。そんな人が言うのもなんですが、読書は人生を豊かにする素晴らしい手段の一つであることは間違いないでしょう。ぜひ、読書を通じて多くのことを学び、楽しんでください。
彦坂教員がすすめる本

1. ご冗談でしょう,ファインマンさん
リチャード P. ファインマン著
 ,岩波書店,1986年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
最近はお勧めできるような本は読んでいないので、随分古い本になってしまいます。超有名な物理学者の奇想天外な物語です。ノンフィクションですが、とてもそうとは思えないような面白い話の連続です。

統合科目群

杉森 保 『サスティナビリティ』『人文と自然』『始動学修:考察』『化学・物理学実験』など

 読書に限らず、常に幅広い視野を持ち、想像力と素朴な好奇心を大切にしていろんなことを楽しんでほしいとおもいます。これまでに興味を持っていたことでも良いですが、これまでに目を向けていなかったような事柄に関する書籍を読むことは、間違いなくあなたの糧になるでしょう。
杉森教員がすすめる本

1. 文学は地球を想像する
結城 正美著,岩波書店, 2023年 所蔵情報:中央図-2階新書・文庫本

環境問題というととかく理系が注目されがちですが、文学が「環境」をどう捉えてきたかを知ることは、環境問題を考える上での視野を確実に広げてくれます。本書で紹介されている書籍を読んだことのある人もいると思いますが、私は知らないものが多かったのでとても刺激を受けました。

2. 内向型人間のすごい力
スーザン・ケイン/古草 秀子訳,講談社, 2015年 所蔵情報:中央図-4階研究用図書他

自分はどんな人間なのか、周りの人たちはそれぞれどうなのか、これからはそういった視点を持つことも大切です。これからみなさんが他人と関わるときに意識しておいた方が良いことが書いてあると思います。中でも3・9・10章は特に興味を持って読んでもらえると思います。

3. あなたは大学で何をどう学ぶか
西山聖久著,化学同人,2023年

いろいろな例を用いてとりつきやすく書かれており、特に前半は、将来像がはっきりしないまま大学に進学した人には考え方を整理する指針を提供してくれると思います。課題の探し方、問題の見つけ方、課題解決のための考え方などはどの分野でも通用するでしょう。

4. デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方
カル・ニューポート著/池田真紀子訳,早川書房,2021年
数年前までTwitterのヘビーユーザーだった私から、デジタルツールとしてのスマホ(ソーシャルメディア)との関わり方を考えてみるこの本を紹介します。後半の「演習」の部分はちょっと急進的だと感じるかもしれないけど、ソーシャルメディアの正と負の影響力を考えるきっかけになるでしょう

5. 「答えを急がない」ほうがうまくいく
三浦麻子著,日経BP,2025年

いろいろな場面でほんの一瞬「答えを急がない」ことがどういう利点をもたらすかを、社会心理学の立場から紹介しています。「曖昧な状態」に耐える力をつけるヒントにどうぞ。プロ野球をよく見る人、特に阪神タイガースのファンなら思わず笑ってしまう小ネタがちょこちょこ載っているので、そういう人には特にお勧めかも(?)。

6. アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂 幸太郎著,東京創元社,2006年(文庫版) 所蔵情報:中央図-1階学生用図書 他
授業内容の質問に来た学生さんと雑談していたときに教えてもらって、場面が繰り返し切り替わりつついろんな事柄がつながっていく面白さを感じた小説です。伊坂さんの他の著作を読むきっかけになりました。主人公が大学生だし、ちょうどいいかなということで挙げておきます。

理系基盤科目群

荒舘 忠 『生命科学-Ⅰ』『生命科学-Ⅳ』『生物学実験』など

 興味がある本は、試しに読んでみるのが良いと思います。その中から自分にとっての良い本(宝物)を見つけて欲しいです。様々な経験を通して大学生活を楽しみましょう。
荒舘教員がすすめる本

1. 改訂第3版 生薬単(ショウヤクタン)語源から覚える植物学・生薬学名単語集
伊藤 美千穂・北山 隆監修,原島 広至著,
丸善雄松堂,2017年 所蔵情報:医薬図-1階 専門書書架
漢方薬で使われる生薬の本なので、それらに興味がある人はもちろんですが、植物に興味がある人にもお勧めの本です。とにかく植物のすごさが分かります。また、植物の学名に用いられるラテン語の説明や植物名の語源に関する情報(神話や生活習慣など)が盛りだくさんに記載されています。それらは英語や化学、生物学などの知識と繋がります。掲載されている生薬の原料となる基原植物は、本学薬学部付属薬用植物園(杉谷キャンパス)や自然豊かな富山県内で観察することができます。

2. もやしもん①~⑬
石川 雅之著,講談社,2005~2014年
カビ(真菌)や細菌、ウイルスが目で見えてしまう主人公の男子大学生が、農学部での様々な出来事を通して成長した約1年間を描いた漫画です。とにかく舞台となる大学と個性豊かなキャラクターがおもしろい。各種微生物や発酵食品(酒、みそ、ヨーグルト、チーズなど)について学べます。アニメ化、実写ドラマ化もされているので様々なコンテンツで楽しめます。

3. はたらく細胞①~⑥
清水 茜著,講談社,2015~2021年 所蔵情報:医薬図-2階 医療系マンガ

細胞を擬人化した漫画です。役に立つ漫画として各メディアで取り上げられているので知っている方も多いと思います。主に血液を構成する細胞が登場しているので、それらに関わる生命現象について興味を持つきっかけになったら嬉しいです。アニメや実写映画化もされています。著者が監修、原案のスピンオフ作品も多数あるので様々なコンテンツで楽しめると思います。

4. 新薬の狩人たち 成功率0.1%の探求
ドナルド・R・キッシュ、オギ・オーガス著,寺町 朋子 訳,早川書房,2018年 所蔵情報:医薬図-1階 専門書書架

さまざまな薬の発見や開発の歴史が書かれた本です。新薬開発研究者(新薬の狩人:ドラッグハンター)が創薬プロジェクトを立案してから新薬発売に至る割合が、サブタイトルの成功率0.1%です。いま使われている薬がどのように開発されたのか興味がある人にお勧めです。

5. もやしもん+①
石川 雅之著,講談社,2005~
2024年11月に約10年ぶりに続編の雑誌連載が開始され、『もやしもん+』となって帰ってきました。某農業大学の2年生になった主人公とその仲間たちのハチャメチャなキャンパスライフを見ることができます。各種微生物や発酵食品に興味がある学生は、『もやしもん』①~⑬から読んでみてはいかがでしょうか。

6. 瑠璃の宝石①~⑦
渋谷 圭一郎著,KADOKAWA,2020~
きれいな石が好きな女子高生と鉱物学を学ぶ大学院生、大学生の日常や研究活動を描いた漫画です。宝石になる鉱物やその他の鉱物および岩石などを取り扱った漫画ですが、石に興味がなくても共感できる内容だと思います。2025年にアニメ化もされています。アニメと関連のコンテンツも最高に面白いのでぜひ見てほしいです。石や鉱物に興味も持ってしまうかもしれませんよ。

英語科目群

山岸 倫子 『基盤英語I・II』『ESP I』

 手軽にそして瞬時に情報を得られる機会があふれるいま、時間をかけて本を読むという行為は、「タイムパフォーマンス」なるものが低いと感じる方もおられるかもしれません。でも、読書は単に情報を与えてくれるだけではありません。本と対話しながら読み進める中で、自分自身との対話も促され、それは自分を見つめなおす機会にもなるのです。自分のために使う時間がふんだんにある大学生の間に、ぜひたくさんの本と出会い、本そして自分自身との対話を楽しんでください。
山岸教員がすすめる本

1. ボーイズ:男の子はなぜ「男らしく」育つのか
レイチェル・ギーザ 著 , 冨田 直子訳,
DU BOOKS,2019年
「フェミニズム」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。簡単に言うと、社会が女性に期待する「女らしさ」というジェンダーバイアスへの問題提起を行う思想や運動のことです。本書はその逆、つまり社会が男性に期待する「男らしさ」(例えば「男の子なんだから泣かないの!」なんていうフレーズはよく聞きますよね)に切り込み、それが男性ひいては社会全体にどのような害悪をもたらすのか、そしてその呪いからどうすれば解き放たれるのかについて、わかりやすく教えてくれます。自らに課されたジェンダー的役割に違和感を覚えている男性だけでなく、社会を構成するすべての人に読んでもらいたい一冊です。

2. The Elephant Vanishes(『象の消滅』)
Haruki Murakami(村上春樹)著,Vintage, 1994年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
大学に入学し、これからもっと英語力を伸ばしたいと考えておられる方もおられると思います。そういった方に是非おすすめしたい一つの方法に、日本の小説を英語で読む、というものがあります。好きな作家さんの作品が英訳されていれば、それを読んでみるのが一番ですが、ここでは、村上春樹さんの短編集の英訳をご紹介しておきます。理由は、英訳の質が素晴らしいからと、短編なので途中で挫折せずに読み進めることができる可能性が高いからです。また、英語版と日本語版(『象の消滅』)を照らし合わせながら読むと、英語表現の勉強になるだけでなく、文化の違いも感じ取れて(英訳が難しい日本の文化って多いのです)、改めて日本文化について考える機会にもなると思います。村上春樹さんの英訳された短編集にはBlind Willow, Sleeping Woman(『めくらやなぎと眠る女』)もありますので、興味がある方はそちらもチェックしてみてください。

水野 真理子 『基盤英語I・II』『ESP Ⅱ』

 読書の魅力は、書かれた文字をゆっくり辿ることで、登場人物の姿や表情、内面、場面や情景を自身の中で映像化し、疑似体験できることだと思います。富山大学生としての新生活。日々の喧騒からちょっと離れて、静かにページをめくり、自由に本の世界にひたってみてはいかがでしょうか。
水野教員がすすめる本

1. 青桐
木崎 さと子著
 ,文藝春秋,1985年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
木崎さと子は富山にゆかりのある芥川賞作家です。受賞作の『青桐』は、富山の高岡市を舞台とし、末期の乳癌を患った叔母と生活をともにすることで、生きる意味を見出していく女性の物語です。病と人生、家族のあり方などに興味のある方にお薦めです。

タランディス ジュニア ジェラルド レイモンド 『ESP-Ⅰ・Ⅱ』

 Here is an excellent reference book that can help you master English grammar. 英文法をマスターするのに役立つ優れた参考書を紹介しよう。
タランディス教員がすすめる本

1. 日本人がはまりがちな英語の落し穴〜自然な英語へのA to Z〜
David Barker著
 ,BTBPress, 2010年
Are you struggling to learn English grammar? This book is a great way to fix those common mistakes Japanese learners make! A super cool point is that it targets the exact things Japanese students usually mess up. Plus, the helpful exercises at the back will help you practice and actually fix your own grammar. For example, imagine finally understanding how to use articles like “a”, “an”, and “the” correctly! If you are serious about improving your English grammar, I can’t recommend this book highly enough.

英文法の学習に苦労していませんか?この本は日本人学習者がよく犯す間違いを直すのに最適です!この本は、日本人学習者がよくやりがちな間違いに的を絞っています。さらに、巻末の練習問題で自分の文法を練習し、実際に直すことができます。例えば、”a”、”an”、”the “などの冠詞の正しい使い方を最終的に理解することを想像してみてください!もしあなたが本気で英文法を上達させたいと考えているのであれば、この本を強くお勧めします。

髙野 美帆 『基盤英語I・II』

 本との出会いが人生に大きな影響を与えるということが多々あると思います。ぜひ大学生の間に様々な本に触れ、新しい世界に出会い、読書ライフを楽しんでください。
髙野教員がすすめる本

1. 置かれた場所で咲きなさい
渡辺 和子著
 ,幻冬舎,2012年 所蔵情報:中央図-2階新書・文庫本
修道院のシスターであり、また大学学長であった著者が、人生を豊かに生きるためのヒントをわかりやすくまとめた本です。ポイントごとに短く区切られているので、空いた時間に少しずつ読むこともでき、おすすめです。

2. 忘れられない仕打ちを赦す 私がたどった解放への旅路
リサ・ターカースト著
 ,いのちのことば社,2023年
私が翻訳した本を紹介します(笑)。英語ではよくforgetとforgiveを関連づけますが、筆者は「forgetできないことでもforgiveできる」と教えてくれます。赦すのは、自分が自由になるためだと言います。個人的には、筆者の「しょうもない」実体験に励まされました。興味があればぜひ!

初修外国語科目群

ヨフコバ四位エレオノラ 『多言語世界入門』『多様性と文化』『日本語アカデミックスキルⅠ』など

 最近、インターネットから気軽に情報を入手できるようになっていますが、本を手にとって、ページをめくりながら物語の世界に吸い込まれるのも貴重な経験だと思いますので、様々な世界を切り開いてくれる本をたくさん読んでください。ここで、滅多に触れることのない異色の文化である東欧の世界の読書もいくつか紹介したいと思います。
ヨフコバ教員がすすめる本

1. 現代東欧文学全集 第1 「ノンカの愛」 ほか
ペトロフほか著
 ,恒文社,1967年
全集には様々な東欧の国の作品が収めあれていますが、ここで推薦したいのは、20世紀の半ば頃のブルガリア北部の地域の人びとの生活を描いた「ノンカの愛」(原作1956年)という作品です。「ノンカの愛」は原語からのブルガリア文学の日本語訳として最も古い作品の一つです。

2. 別れの時
アントン・ドンチェフ著,松永 緑弥 訳,恒文社, 1988年(原作1964)
オスマン帝国の支配下におかれていた17世紀のブルガリアの中部の村の人びとは、イスラム教徒への改宗を迫られ、キリスト教徒として死を選ぶという悲惨な歴史を描いた作品です。戦争が止まない今の時代にもメッセージ性が高い作品です。1988年には映画化されています。

3. バラの名前(The name of the rose)
ウンベルト・エーコ著,河島 英昭 訳,東京創元社,1990年(原作1980)

作品の舞台は、14世紀の北イタリアの修道院です。修道院の修道士の異常な死の謎に迫ったミステリー作です。文学のみならず、「記号論」の名作としても人気を集めた世界的ベストセーラーです。1986年には映画化されています。

4. 『一般言語学講義』(『言語学原論』を改版新訳)
フェルディナン・ド・ソシュール著,小林 英夫 訳,岩波書店,1972年 所蔵情報:中央図-書庫2層 他

ソシュールの死後、ジュネーブ大学で講義を受けていたソシュールの教え子達が講義メモをもとに出版した著名な言語学者の言語理論の本(原作1916年)です。ソシュールの言語学理論およびその理論に由来する多くの概念が言語研究に大きな影響を与えています。将来的に、言語の研究に携わりたいと考えている人には是非お勧めしたい一冊です。

5. 日本文法研究
久野 暲著,大修館書店,1973年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書 他

著者の久野暲氏はハーバード大学で日本語および日本語学の教育に携わっており、日本語を日本語非母語話者と同じ目線で記述しています。まさに、異文化の観点から見た自文化というスタンスで書かれた本です。将来、日本語教育および研究に携わりたい人には是非読んで欲しい一冊です。

笹山 啓 『ロシア語基礎Ⅰ・Ⅱ』『ロシア語コミュニケーションⅠ・Ⅱ』『社会と人文』など

 読書は動画視聴に比べて時間も集中力も必要だから苦手だ、という人がいますが、それは本の1ページ目から最後のページまで、くまなく目を通して記憶しておくことを「読書」だと思っているからでしょう。動画を早送りしたり巻き戻したりするように、本も行ったり来たりしながら面白そうなところだけを読む、それでもいいのです。
笹山教員がすすめる本

1. 戦争は女の顔をしていない
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著
 ,岩波書店,2016年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
ウクライナにもルーツを持つベラルーシ人のロシア語作家アレクシエーヴィチは、2015年のノーベル文学賞受賞者。近年では日本のメディアにも頻繁に登場し、民主主義を擁護する発言を続けています。第2次世界大戦に従軍した女性兵士へのインタビュー集である本作から、歴史に顧みられない人々の声を聞き取る彼女の作業は始まりました。

2. 亡命ロシア料理
ピョートル・ワイリ/アレクサンドル・ゲニス著,未知谷, 1996年(新装版2014年)所蔵情報:中央図-1階学生用図書 他
ソ連時代にアメリカに亡命した批評家ふたりが、故郷の味を懐かしみ、再現を試みながら書き連ねたエッセイ。非常に洗練された文体の比較文化論になっており、ときに漏れるアメリカの食文化への悪態すらユーモアに溢れていて面白いです。レシピ本としても使えるので、自炊のお供にいかがでしょうか。

3. ウクライナ日記―国民的作家が綴った祖国激動の155日
アンドレイ・クルコフ著,ホーム社,2015年

2013~4年にウクライナで発生し、いわゆる「マイダン革命」へと続いた反政府運動の時期に、作家クルコフはキーウ中心部の自宅からデモの様子を観察していました。昨今のウクライナ情勢を理解するための基礎知識を、本書は国際政治や軍事、経済とはまた別の観点から提供してくれます。

4. テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム
ダン・アッカーマン著,白揚社,2017年
決められた数のブロックが並ぶと消えるパズルゲームの元祖テトリス。実は1980年代にソ連で発案されました。しかし、テトリスが世界的にヒットしたのはセガや任天堂といった企業による商品化が大きな要因です。冷戦のさなか、ソ連の技術が日本にすんなり輸出されるはずはないのに、なぜ?本書を読むと分かります。

5. 食の宝庫キルギス
先崎 将弘著,群像社,2019年

ロシア語が公用語の国はロシアだけではありません。カザフスタンとキルギスという中央アジアの国もあります。本書は「食」を切り口に、日本人と顔立ちがそっくりな人々が多く住むキルギスの豊かな文化と歴史の一端に迫ります。実際、中央アジア料理はおいしい!

導入学修科目群

福田 翔 『導入学修A』『中国語基礎Ⅰ・Ⅱ』など

 読書によって様々な世界を知ることは、とても楽しいことです。自分の視野が広がるとともに、この多様な世界に対して物事を相対化し、公平な立場で見る力も身につきます。私はよく中国へ行きますが、スーツケースに、必ず本を買って帰るスペースを空けておきます。私からは、外国語が学びたくなる本、海外に行きたくなる本を紹介します。
福田教員がすすめる本

1. 28言語で読む「星の王子さま」世界の言語を学ぶための言語学入門
風間伸次郎著,山田怜央編著
 ,東京外国語大学出版会,2021年 所蔵情報:人文学部
「言語学!」なんだか難しそうな気がしますよね?でも、少し言語学の知識があると、様々な外国語を気軽に学ぶことができます。そんな素敵な体験をさせてくれるのがこの本です。「星の王子さま」を通して、世界の様々なことばに触れてみてください。

2. 言語楽(げんごがく)さんぽ
井上 史雄著,明治書院, 2007年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書
日常に広がることばの不思議やおもしろさ、海外での体験等について、社会言語学・方言学の研究者である著者がユーモアたっぷりに語ってくれます。ことばについての理解が深まるのはもちろん、生きるのがさらに楽しくなるかもしれません。

3. 寄り道ふらふら外国語
黒田 龍之介著,白水社,2014年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書 他

ふらふら道草をするようにいくつかの外国語を勉強する面白さを教えてくれる一冊です。フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語と盛りだくさん!海外での体験、書籍、映画等を取り上げながら、エッセイ風につづられています。

4. 中国語はじめの一歩[新版]
木村 英樹著,筑摩書房,2017年 所蔵情報:中央図-2階新書・文庫本 他

中国語に触れたことがない人でも手に取って読むだけで、中国語の面白さや仕組みについて学ぶことができる1冊です。まるで先生の授業を聞いているかのように読み進めることができ、きっとさらに中国語を勉強したくなることでしょう。

5. 相席で黙っていられるか: 日中言語行動比較論
井上 優著,岩波文庫,2013年 所蔵情報:中央図-1階学生用図書 他

日本人と中国人のことばやコミュニケーションスタイルの違いについて、「不思議だな」、「どうしてかな」と感じる現象を取り上げ、それらを比べて考えることで、共に自然なものとして見える見方を探っていく!異なる現象、文化、考え方等に直面したとき、「比べて考える」ことの面白さを教えてくれえる一冊です。

6. 言語:ことばの研究序説
エドワード・サピア(安藤 貞雄訳),岩波書店,1998年 所蔵情報:中央図-2階新書・文庫本 他

アメリカの言語学者エドワード・サピア(1884-1939)による言語学の本格的な古典的入門書!言語の特質について、また言語と人種、文化等の深い関係について少しでも興味がある人は、ぜひ一度手に取ってみてください。

データサイエンス科目群

鈴木 香織 『データ分析基礎Ⅰ・Ⅱ』『データサイエンスの世界』『学術情報リテラシーⅠ・Ⅱ』など

 大学生活が始まるにあたり、レポートや卒論の書き方についての本をぜひ読んでみてください。「まだ入学したばかりなのに卒論なんて…」と思うかもしれませんが、4年後に慌てずに卒論を書き上げるためには、1年生のうちから少しずつレポート課題に取り組むことが大切です。この本を参考にして、論文の書き方の基本を学び、論述力を高めてください。早めの準備が、将来の成功への確実な一歩となるでしょう。

鈴木教員がすすめる本

1. レポート・論文の書き方入門 所蔵情報:中央図-1階一般書書架
河野  哲也著
,慶應義塾大学出版会2018年
この本には、1年生の中間レポートから始まり、期末レポート、卒業論文と続く文章作成能力を身につけるために必要なことが書かれています。ゼミ発表のレジュメの作り方など、薄い本ではありますが充実した内容です。
最初から完璧なレポートを書くのではなく、自分で書く前や書いた後にしっかりと確認し、次につなげる意識を持つことが大切です。そうすれば、知らず知らずのうちに大学を卒業した後にも通用する力が身につくことでしょう。

始動学修科目群

水谷 秀樹 『健康・スポーツ実践/論』

 定期的に書店に足を運ぶことをお勧めします。本を眺めながら、書店内を歩き回るだけでも良いと思います。本を手に取るとき、その動機は人それぞれと思います。タイトルに魅かれて、本の中身(はじめに、目次、あとがきなどを読んで)に魅かれてなどなど。分野を問わず「ちょっと読んでみようかな」と感じた本に出会えたらラッキーです。
水谷教員がすすめる本

1. 見えないスポーツ図鑑
伊藤 亜紗他著
,晶文社2020年
「スポーツ選手が感じている本質を、何らかの別の方法や道具を使って再現することを「翻訳」と称して、その悪戦苦闘ぶりが楽しくまとめられている。「サッカーを翻訳する」、「卓球を翻訳する」、「野球を翻訳する」など(目次より)

2. ビヨンド・リスク ―世界のクライマー17人が語る冒険の思想―
ニコラス・オコネル著,ヤマケイ文庫,2018年

「刊行から四半世紀を過ぎてなお、一線のクライマーらに影響を与える山岳名著。20世紀を代表するレジェンド17人が自らの登山哲学、冒険思想を語る」(裏表紙より)

3. 野球短歌
池松 舞著,株式会社ナナロク社,2023年

阪神タイガースファンの著者が、「いつまでたっても阪神が勝たないから」とつくり始めた短歌の数々。野球(スポーツ)と短歌(文芸)という異分野が結びつく効果を、部員に短歌づくりを勧めるある高校野球部監督は、「野球とまったく違うジャンルに触れることで、視野が広がり、人として成熟」と指摘しています。あなたも「健康・スポーツ実技」で感じたことを短歌にしてみませんか。)

4. 生き方がラクになる「ハイキュー!!」の言葉
内田 若希,河津 慶太著,大修館書店,2024年

スポーツ漫画『ハイキュー!!』(古館春一、集英社)の登場人物たちの言動を「アドラー心理学」を用いて分析し、「競技スポーツだけでなく日常生活でも役立つように解説」したのが本書。本書のページを繰りながら、「心の整え方」を実践してみてはいかがでしょうか。

情報処理科目群

大橋 隼人 『学術情報リテラシーⅠ・Ⅱ』『データサイエンスの実践』『データ分析基礎Ⅰ』など

 インターネット上で様々な知識を手軽に得ることができる現代ですが、1冊にまとめられた情報、知識、物語を手元に携えて隙間時間を充実させることも一興だと思います。皆さんが読書するときは好きなジャンルや特定の著者に偏りがちになると思いますが、一度、他者のすすめる本を読んでみると新しい世界が拓けると思うので、是非お試しください。
大橋教員がすすめる本

1. 学び合い、発信する技術 アカデミックスキルの基礎
林直 亨著
 ,岩波書店,2022年
必修科目「情報処理」ではアカデミックスキルの修得を目的としていますが、本書や類似書籍等に触れることにより様々な説明方法で多様なスタイルがあることを知り、一番自分にあうものを軸に身に付けていってもらえればと思います。

2. イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める!物理のしくみ
川村康文 監修,西東社, 2019年
身の回りの現象等について、「何故そうなるのか」を1ネタ2ページのカラーイラスト付きで簡易的に解説されています。読み物として物理が分かった積もりになれて、科学的な一般教養が身に付けられると思います。

3. ラ・フォンテーヌの寓話
ラ・フォンテーヌ 著,ドレ 画;窪田 般弥 訳,社会思想社,1987年

教訓的な内容の例え話(寓話)が様々な生物等を登場人物として1話2,3ページ程度で多数収録されています。明解な文章ではありませんが、考えながら、自分なりの解釈を楽しめると思います。

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