教養教育ピックアップ

富大1年生255名のリアルな声と座談会から見るキャンパスライフ

〜授業・アクティブラーニング・サークル・楽しみなどの本音に迫る〜

▲ 座談会に参加してくれた富大1年生6名

大学生活は、学びや挑戦、成長の場です。大学生活の満足度や授業、サークル活動、将来の夢についてのアンケートを実施し、255名の学生からの回答がありました。さらに、6名の学生の皆さんが座談会に参加し、具体的なエピソードを語ってくれました。アンケート結果と座談会を交えながら、教養教育と大学生活の魅力に迫ります! 

Aさん

▲座談会進行役:谷口先生

Bさん

▲座談会進行役:笹山先生

座談会は、教養教育院の谷口美樹先生と笹山啓先生の進行のもと、活発な議論が繰り広げられました。

谷口先生は、歴史学の立場から学生に新しい観点を提供し、生命の可能性を探求する姿勢で授業を展開しています。

笹山先生は、ロシア文学を専門とし、学生との距離が近い授業スタイルで人気を集めています。鋭い質問で議論を深めるだけでなく、ユーモアを交えた進行で座談会の場を和ませてくれました。

2024年7月から8月にMoodle上で実施した教養教育院学生アンケート2024『聞かせて、富大生の本音』では、255名の回答を得ることができました。学部ごとの回答者の割合は次の通りです。


大学生活でどのようなことに満足していますか?

≪255名のアンケート≫

全体として、大学生活では満足している学生が圧倒的に多く、72.5%が「満足」と答えています。一方、「非常に満足」と答えた学生は14.9%であり、「不満」「非常に不満」という否定的な評価は相対的に少なく、大学全体に対する学生の評価は基本的にポジティブであることを示唆しています。

日常生活では、最も多くの学生が満足している点は「友人やコミュニティの雰囲気」であり、次いで「自宅からの交通アクセス」「学食のメニュー」「キャンパスの雰囲気」が高く評価されています。全体的に大学内での人間関係やキャンパス内の環境に満足している傾向が見られます。

学業面では、最も多くの学生が「授業・講義の多様さ」に満足しており、約160人がこれを高く評価しています。また、「講義内容のおもしろさ」も多くの学生に評価されており、教育内容に対する関心が高いことが分かります。

≪座談会≫

Image 1

笹山 富山大学に入学してみて、皆さんの満足度はどのくらいでしょうか?大学の施設やシステムなど、ここが楽しい、良いなと思ったポイントはありますか?例えば、学部ごとに違うかもしれませんが、「学食がおいしい」などの意見もあるようです。普段、感じている魅力的なところを教えてください。

学生 私は富山大に入って、「すごい大きな世界だな」って思いました。入試のときは、最後の最後まで富山大を受けるつもりはなかったんです。たまたま狙っていた大学がうまくいかなかったときに、先生から「君、ここを受けたら?」って言われて、結果的に入学したんですけど…。入ってみたら、下宿でもアパートとか大学まですごく近いのに安くて驚きました。それに、学部がたくさんあるじゃないですか。教養科目で芸術系の授業も取れるし、医学系の授業も取れたりして。オムニバス形式の講義も多くて、時間割の問題で「この先生の授業が聞けない」っていうことが、あまり発生しづらい状況かなって思いました。

学生 そうそう、確かに、それって総合大学としての一番の強みですよね。医学部もあるし、芸術系もあるし、もちろん人文系とかもあるから、横のつながりや幅もすごく広いなと思います。私、理学部なんですけど、もともと理学じゃなくて人文とか経済とかに興味があったんですよ。だから文系にも行きたかったし、でも最終的に選んだ理系にも行きたかったし、そういうタイプの人間だったので、富山大に入って本当に「正解」だったなって思っています。

谷口 富大がピッタリだったんですね!今、芸術の授業も受けられるという話が出ましたので、芸術文化学部に在籍されている方にお聞きしたいのですが、どんな授業を受けていて、どんなところが面白いと感じていますか? やっぱり専門分野の授業が一番面白いのでしょうか? それとも、少し専門から離れた授業に面白さを感じることがあったりしますか?

学生 そうですね、基本的には芸術系がやりたくて入ったっていうのもあって、やっぱり芸術系の授業は楽しいんです。でも、授業の中で違う学部の人たちと仲良くなると、「あ、やっぱり全然違うな」って感じることがあるんですよね。芸術系の人たちとは話し方も違うし、空気感からもう違うというか…

笹山 空気感ですか…

学生 そうですね…、というか、すごく論理的だなって思うことがあるんです。論理的で、建設的な意見を言うなと…、私はどちらかというと感情的というか、共感みたいな感じが強いんですが…(笑)

笹山 やっぱり、総合大学であるということはすごく大きなメリットですよね。学部に入って「自分の専門のことしかできない」というわけじゃなくて、色んなことができる。それに、学部ごとのカラーというか、独特の雰囲気もあって、面白いですよね。他に何か、満足していること等はありますか?

学生 私は富大がすごく街中にあるのがいいなと思ってます。大学から市電(路面電車)の駅まで近くて、そして、中心街まで20分くらいで行けるので・・・、私の実家は、最寄り駅が無人駅で、そこまで車で20分くらいかかるんですよ。だから、「富山って都会だな」って感じることが多いですね。お買い物も、自分の足で行けるのがすごく楽しいんです。

学生 私は滑川(富山県の東側の都市)から通ってるんですけど、ちょっと遠いですね。電車だと乗り継ぎ乗り継ぎで…、車で通いたいなとは思いますね。家から大学まで1時間くらいかかってしまうので…

谷口 1限に授業があると、大変ですよね…。先ほど、総合大学ならではの良い点というのがいくつか挙げられていましたが、その中で、教養教育の授業がきっかけとなって、学部を越えて交流できたことはありますか?

学生 あります!私の経験ですが、授業の中で、「隣の人と一緒にこれ解いてね」みたいな時間がちょっとあって、そこで仲良くなったんです。それがたまたま2限の授業だったんですけど、そのまま一緒にお昼を食べに行く流れになりました。

学生 私の場合は、グループワークで、何回かに渡って相談する必要があったので、LINEグループを作りました。その中には様々な学部の人たちがいて、仲良くなって、そして、今でも仲がいいです。

学生 LINEグループはハードル高いな・・・、なかなかそこまではいけないなぁ。

学生 確かに、ちょっと躊躇はありましたけど、便利だからLINEグループ作ろうって、私から言いました。

谷口 自分から言える人は強いですね。他の学部の人たちとお話する機会とかはどうですか?

学生 やっぱり、たまにそういう機会はあります。特にグループワークとかがなくても、フレンドリーな人とかだと話したり、仲良くなったりすることもあります。

友人ができるコミュニティは?

≪255名のアンケート≫

総合的に見ると、学生の多くは授業やクラブ・サークル活動といった大学内の活動を通じて友人関係を築く機会が多いようです。授業でのグループワークやディスカッション等、共通の目標を持つことで、自然と親しくなれるのかもしれません。クラブやサークル活動では、学年や学部を超えた繋がりができるということもあるでしょう。

≪座談会≫

谷口 「どのようなコミュニティで友達ができますか?」というアンケートで、「同じ授業」でという回答が最も多いのですが、次に多いのは、「部活・サークル活動」です。皆さんは部活やサークルに入られていますか?

学生 はい、料理サークルに参加しています。それに加えて、理学部で中高生や小学生向けに開催される「サイエンスフェスティバル」というイベントの実行委員もしています。

谷口 2つもされているんですね!どちらも理学部ならではの活動ですね。縦のつながりとかも強そうですね。

学生 そうなんです。理学部の先輩たちと関わる機会が多くて、縦のつながりが強くなるのはすごくありがたいです。料理サークルのほうも、料理って実験に似てるって言われることが多くて…、うちの父も「料理は実験みたいなものだ」ってよく言うんですよね(笑)。実際、理学部の先輩方がたくさん参加しています。だから、自然と理学部のつながりがサークル活動の中でも深まっていく感じがします。私にとってはとても嬉しいです。

学生 私は昼休みに活動している「英語で昼休みに留学生と話す」という活動に参加していました。あとは、キャリアサポーターっていう就活支援をしていたり、高岡キャンパスの学生会、たとえば学園祭の創己祭とかを企画したりするような活動に参加しています。

笹山 キャリアサポーターってどのような活動をされているのですか?

学生 キャリアサポーターは、学生の立場から就職の支援をするという活動を行っています。学内で就活に関するイベントをやったりだとか、あとは、内定をもらった先輩方や企業の方にインタビューをして記事にしたりしています。

笹山 そういう活動もあるんですね!
皆さん、運動部よりは文化系のサークルやイベントに参加されているんですね。運動部に入っている方はいますか?

学生 運動部ではないんですが、私は写真サークルに入ってます。月に一回の活動であまり活動数は多くないんですが…、そこで知り合いが増えるというより、あとは、私もキャリアサポーターもやってますし、富大祭運営委員会もやってます。そこで縦や横の繋がりができたりしますね。

谷口 多彩ですね!写真サークルは遠征されたりするのですか?

学生 県内ですが、ちょっと遠いところに行ったりはします。先輩の車に乗せてもらって行くという感じです。この間は「五箇山」に写真を撮りに行きました。風景を撮影したり、あとは基本的に撮りたいものを撮るという感じなので、それぞれ自由に撮っています。

学生 自分は放送研究会とロボコンに入ってます。

谷口 ロボコンって、ロボットの?

学生 はい、毎年NHKで「学生ロボコン」という大会があって、そのためにロボットを作って大会に出場しています。そこで、7年連続本戦に出ていたんですけど、今年出れなくて…、でも来年挽回しようと頑張ってます。

谷口 7年連続、すごいですね!活発に活動されているんですね!

学生 私は、天文同好会と富大祭に入ってます。あとは、学部の中で一緒に勉強しようという集まりを作っていて、一応もう6カ月たっているので、サークルにはできるけどどうしようという話をしているところです。

谷口 勉強サークルですか?

学生 そうです。勉強サークルになるかどうかですね(笑)。サークルにすると、サークル棟を使えたりもするので…、あと、学部棟では制度的に部屋を借りることが難しいので、サークルにするかどうしようかなと考えているところです。

笹山 皆さん、非常に多彩な活動をされていて、私生活はとても充実されているようですね。

教養教育でのおすすめの授業は?

≪255名のアンケート≫

複数の投票が集まった注目の授業には、『こころの科学』、『日本国憲法』、『SDGs入門』、『外国文学』、『医療と地域社会』、『感性をはぐくむ』、『現代と教育』、『富山の地域づくり』、『万葉学』、『医療心理学』などがありました。それぞれの授業が多くの学生の関心を集め、学生にとって学びの幅を広げる魅力的な授業であるということです。

≪座談会≫

笹山 富大の良いところとして、幅広い分野の授業があるということが出てきたのですが、これは面白かったなど何か印象に残っている授業はありますか?

学生 前期に受講した授業の中で、万葉学っていう授業があって、それが一番好きでした。毎週、その授業を楽しみに来ているという感じでした。

笹山 それは具体的にはどのような授業なのですか?

学生 万葉集の和歌を取り上げて、特に恋の歌を取り上げて、それを詳しく見ていくというような授業です。私はもともと古典とかが好きで、日本の古い歴史とかが好きだったというのもあります。

学生 私は前期受けていた「医療と地域社会」というオムニバス形式の授業があって、その中で、演劇のグループワークがあったりとか、映画鑑賞をして医療について考えようとか、人の気持ちについて考えようとか、医療の技術とかだけではなく、患者さんとの関係とか、治療のあり方とかに焦点を当てた授業で、現場の先生方のお話もあって、私も日本の医療とかに興味があったので、改めて向き合うことができて、とても興味深かったです。あと、地域医療とかについても、富山の現状などを知ることもできて、医療というものを別の焦点から見ることができたなと思いました。

笹山 それは面白いですね。恐らく授業は、医学部の学生さんも受けるし、それ以外の学部の方々も受けるし、医学と言っても技術的な面のみを教えるのではなく、医学とどう向き合うかということが、皆さんにとっても重要ですよね。他には何かこれはという授業はありますか?

学生 私は月曜5限の「富山の地域づくり」が印象に残ってます。トップリーダーを繋ぐというようなのがあるんですが、富山大学、金沢大学、信州大学の3大学でオンラインで繋いで、全員で話し合うといった授業です。

谷口 それは大教室で受けられているのですか?

学生 オンラインなので、個々で受けていて、自宅で受けたりもできます。オンライン上でグループが自動で振り分けられて、大学を混ぜた形の5人くらいのメンバーが集まって、その中で議論をします。印象的だったのは、石川であった地震で、「復興するためにはどのようにすれば良いか」というテーマで、輪島塗の方がゲストで来てくださって、その人のお話を聞いて、復興について考えるというのがありました。

笹山 それは面白そうですね。これは問題解決型学習といったものにも繋がっていきますね。オンラインでも活発に意見交換できました?

学生 最初は、ちょっと話が続かなかったり、回線の調子が悪かったりというのもあったのですが、回を重ねるごとにだんだんと活発な議論になっていきました。特に最後の方は、とても楽しくできました。

学生 私は、「日本国憲法」が一番楽しかったです。その先生の授業とても熱心で、熱っぽく語ってくれて、ひと言ひと言が心に響くというか、私はああいう授業がとても好きなので…。

笹山 なるほど、授業自体の工夫もそうだけど、先生自身の人柄も好きなんですね。私もその授業は評判が良いと聞いたことがあります。

アクティブラーニング、グループワークの効果は?

≪255名のアンケート≫

アンケートでは、「アクティブ・ラーニング型の授業(受講生同士のディスカッションや授業内での双方向的なやり取りを含む授業)に参加した感想」を記述式で回答してもらいました。その回答を「ポジティブな意見」と「ネガティブな意見」に分類し、それぞれの傾向を把握しました。また、どちらにも分類できなかった回答は「その他」として整理しました。

ポジティブな意見としては、「いろいろな意見を聞けて面白い」、「このような講義のおかげで、自分の意見を即座に考え、発信できるようになったり、友達もできたりしたので自分のためになりました」、「やはり一人で黙々とやるよりも実践的で考えをまとめやすい」といった声が寄せられました。一方で、「非協力的な学生がいると話が進まない」、「準備が大変で負担を感じる」等のネガティブな意見も見られました。

≪座談会≫

笹山 皆さんはアクティブラーニングに結構慣れている世代だと思います。そこで実際にアクティブラーニングについて本音ではどうなの、皆さんの思うところを聞かせてください。例えば、授業を聞いているだけの方が実は楽しいとか、そういうのってありますか。

学生 私はアクティブラーニング自体すごくいいなと思ってて、授業をただ聞いてるだけだとすぐ眠くなっちゃったりとか、いつの間にかぼーっとしてて、気づいたら内容飛んでるみたいなことがあったりするんですけど、話し合いがあると一旦そこで自分の考えをまとめたりとかしないといけなくなるので、いいなって思います。できれば、先輩の方々とそういうことをするみたいな機会がもうちょっと欲しいなと思います。先輩方としゃべってると、話し合いどう進めていけばいいのかなど、結構参考になることが多くて、そういう先輩方の進め方を見て学ぶことが結構多いので、勉強になると思います。

笹山 確かに教養だと1年生が多いから、横並びというか知識レベルも似たような感じで話し合っていっても、進め方も分からないし、話がまとまらないなんてこともありますね。先輩のような経験者からのサポートが欲しいですね。他に何かありますか。

学生 私のコミュ力の問題かもしれないんですけど、例えば4人グループ作ってねって言われたときに、私が座っている列には私1人しかいなくて、後ろ見たら3人いたので、そこで4人組んだんですけど、その後ろの3人が友達で、ずっと3人で喋っていて、私が話しかけても、「ああ、うん」みたいな感じで終わって、またその3人で喋り始めるんですよ。それでなかなかアクティブラーニングっていう感じにはいかなかったという苦い経験もあります。

笹山 ただのお喋りの時間になっているということですね。大人数であったり、友達同士が固まってしまうと起こりがちですね。

谷口 参加者意欲が乏しいとそうなりますね。授業として真面目に取り組もうとされている方と、お喋りの時間と思って参加される方の溝をどうやって埋めるのかという問題がありますね。

笹山 それは確かにありますね。グループワークを学生だけに任せてしまうというやり方では解決しない問題かもしれません。教室のつくりも関係がありそうです。階段教室ではグループワークをやるのは難しいということもあるかと思います。

学生 前期の授業で、10人ぐらいでグループワークをする授業があったのですけど、毎回席固定で同じメンバーということがありました。座席のつくりも話ししづらい配置で、みんな結構バラバラな感じだったので、あんまりアクティブラーニングっぽくはならなかったです。

谷口 不満としてよく分かります。さきほどの、先輩の方々とアクティブラーニングする機会があればというご意見は、グループワークを先輩がどう進めているかを見て学んで、進行の仕方を分かった上で、グループワークをするのがいいと思われたということですね。

笹山 皆さん実際にアクティブラーニングは好きですか。楽しいって思いますか。どう?そうでもない?それとも楽しいときもあるのかな。

学生 私はアクティブラーニングはあまり好きではないです。たとえば6人のグループで話し合うことがあるとき、その6人が話し合いたいメンバーではないことがほとんどで、そのような場合、誰が司会をするかを決めるだけで時間がかかります。誰も目立ちたくはないので、司会をやりたがりません。そんな状態ならアクティブラーニングはしなくてもいいと思います。

笹山 なるほど。司会をやった経験もないだろうしね。そのようなときはどうしたらいいんだろう。話が進まないグループには教員が水を向けるとかしなくてはいけないですね。

学生 高校でのアクティブラーニングは、クラスメイトがメンバーであるので、ある程度知っている人同士でグループを作れるのですが、大学で大教室でアクティブラーニングをやるのは、かなり高校とは違うのではないかと思います。

笹山 大学よりもむしろ高校の方がうまくいっているように思うということですね。

谷口 大学では新しい人たちと新しい関係を作っていきますよね。学部を越えた人に出会えることも面白いと思いますが、どうですか。

笹山 大学ではクラスというものがないので、横のつながりがどうしても希薄になりがちというのがありますよね。

学生 同じサークルの人同士だったら、今後仲を深めていかないとみたいな目的があるじゃないですか。ところが教養教育の授業で集まる人はその場かぎりなので、そこで仲を深めようと思わないですね。そうなるとアクティブラーニングにならないよねって思ってきました。

谷口 一期一会的な良さはないでしょうか。二度とない機会であるからこそ、語り合えるということはないでしょうか。

学生 互いに意欲のある人同士だったらすごく活発に意見交換できると思うんですけど、やる気のない人と同じグループに当たってしまうと、自分が喋っても相手が喋ってくれないみたいなことがあります。

笹山 アクティブラーニングというのは積極的に議論できる人が集まるととても楽しくて有意義だけど、そんなにこのテーマには興味ないなみたいな人に当たっちゃうと、だったら先生が話してくれてる方がいいよみたいなことが生まれやすいかもしれませんね。

谷口 では、グループワークをうまく引っ張っていくことができた経験とかありますか。

学生 そうですね。とりあえず自己紹介で自分から口火を切って、うまくグループワークの手綱を持って、それでどんどん話題提供とかを自分からしていけば、興味ある人は食いついてくる。食いついてこない人はしばらく様子見て、食いついてこないようなら、ちょっと冷たい方法でもあるんですけど、置いといて、興味ある人だけでワークを進めちゃうというのもあります。

学生 私の場合は「袖振り合うのも多生の縁」だと思ってるので、出会った人とはできるだけ仲良くしていきたいなと思っています。

笹山 うまくいけば、いろんな学部融合で、知らない意見が出てくるし、考え方、発想、読んでいる本も違うしね。

学生 私は基本、自分が動けばメンバーが喋らない人であろうとある程度喋らせることができると信じていて、それでうまくやってきてるなと感じています。私としては、自分のキャラをまず固定してグループの中で、話題となっているテーマについて聞いてもらえるように話を誘導したりして、ちょっと1分か2分アイスブレイクをしたり、そんなふうに話していけばいいと思っています。基本的には私がファシリテートをすると決めていて、そうした方が誰かがファシリテートをやるか決めるっていう無駄な時間がないので。私はそういうストラテジーでいきます。私としては大学の教養教育のアクティブラーニングを生きていく上では、このストラテジーが最強かなって信じてやってます。

谷口 いまのご意見のような、教養教育を生きていく上で、こうしたら良かったよっていう皆さんの工夫はありますか。

学生 恥を捨てる。元々舞台とかやってたんで、そこにいる自分は自分じゃない。客観的に見ている人がいて、キャラっていくらでも作り替えられるんで、いくらでも更新できるんで、そうすると自分は自分じゃないなって思って、演技のつもりでやってます。

谷口 いいですね。そこでまた、自分の枠が外れていって、次の自分が生まれてきたりしますよね。では、アクティブラーニングで培われたものはありますか。アクティブラーニングに限らず、富山大学に入ってきてからの経験で、これをやったら乗り切れるよということなどアドバイスはありませんか。

学生 自分から話しかけることです。教室に友達をつくる。分からないことがあるときには、自分から声を上げたり聞いたりするのが大事かなって思います。基本的にどの授業でも初回の授業で、隣の人と話すことは意識しています。その話した人と絶対に仲良くなる。少なくとも連絡先だけはもらう。そうしたら助けてくれることもあります。初回の授業では、お互いに友達がいない状況なので、初回に話すと、2回目も近くの座席に座ってくれて、それがどんどん続いていって、次は一緒にご飯食べるみたいになったりしました。

谷口 授業に知り合いや友達がいるというのは心強いですね。

学生 一番最初は肝心なのは、挨拶をかわすことだと思います。私もそうして仲良くなりました。

笹山 皆さん、不満はありつつも、ある種のストラテジーを身につけてたくましく乗り越えていますね。

楽しみ、推し、好きなことは?

≪255名のアンケート≫

今回のアンケートでは、多様な趣味や活動が挙げられ、特に「推し活」や「音楽」、「漫画・アニメ」、「映画鑑賞」といった回答が多く見られました。一方で、スポーツやアウトドア活動、学問的な興味など、多岐にわたる趣味が挙げられており、個々の回答者の価値観やライフスタイルの多様性がうかがえました。

≪座談会≫

笹山 最後は楽しい話題で締めたいと思うんですけど、今大学活を送っていて、それなりに自由時間も多いと思うんですよ。なので大学に入って、今とても楽しいなと思っていること、これが今大学生活の楽しみの一つだみたいなことって、もしあったらでいいんですけど、最後にそれだけお聞きしたいなと思います。もちろん、勉強でもいいし、家でゲームやってるでもなんでもいいんですけど、何かありますか?

学生 私は勉強が一番楽しいです。授業外の(勉強)。授業はあまり、ごめんなさい、ちょっと授業は授業で完結してしまっているので「あまり」なんですけど。自分は数学が結構好きで、自分で進めていて、前期からだいぶやっているので、一部の分野は大学3年生でやるところまで手をつけていて、それをみんなでやるのが今一番楽しいですね。

笹山 勉強サークルですね。

学生 そう、ゼミ形式で、ここが分からないなど言いながら、一つの本をみんなで取り囲んでやっていくのが楽しいです。高校までなかなかそんな時間を作れなかったので、めちゃくちゃ楽しくて。

笹山 すごいな。感動してしまう。勉強が楽しい。そうだよね。他には何かありますか。

学生 今は、全然関係ないんですけど、私はクリスチャンなので、他の富山の大学生のクリスチャンと一緒に聖書を読んで、さっき言われてたみたいに勉強するみたいなのをやってて。

笹山 読書会ってことだよね?

学生 そうですね。それがすごい楽しいです。学問として読んでるって感じなんですけど。

笹山 勉強会ができるっていうのは確かに大きなメリットの一つかもしれない。

谷口 自分がやりたい勉強会ですものね。

笹山 教科書がないような部門だったら別に好きなように勉強できるわけだから。すごいな。楽しいこと何ですかって聞いて、勉強、勉強って来るとは思わなかった。確かにそれは当然のことかもしれません。素晴らしいですね。数学や聖書とかね。面白いですよ。どうでしょう。他に何かありますか?

学生 読書です。結構時間あるんで一日中読めたりとかします。

笹山 何系の本が好きですか?たとえば、歴史とか文学とか哲学とか。

学生 最近は哲学系の本です。自分の地元は結構田舎だったので、大学に来てから本の多さに驚きました。こんなにたくさんの本があるんだって思って、すごく楽しいです。

谷口 図書館に行って読まれているんですか?

学生 はい、そうです。借りて読んでます。

笹山 なるほど、他に何か今楽しんでることとかありますか?

学生 皆さん勉強関連のことですごいなと思っていて、全然違って申し訳ないんですけど、私は大学に入学してから、近くのゲストハウスに遊びに行っているんですよ。そこでゲストさんとお話しするのが楽しくて、海外のゲストさんが多いんですね。すごい片言の英語とかなんですけど、それでも意思疎通できると楽しいですし、日本の他のとこから来た方でも全然知らない、違う体験を積んでいたりする方なので、知らない人とお話しできるのが楽しいですね。

笹山 どういう国からいらっしゃるんですか? アジアとかヨーロッパとか?

学生 いろいろなんですけど、本当にバラバラですね。アメリカとかインドとかオーストラリアとか中国・韓国の方もいますし、あとはドイツとかフランスの方もいました。あとゲストノートみたいなのがあるんですけど、それ見てたら右から左に読む言語、よくわかんないですけど。

笹山 多分アラビア語じゃないかな。

学生 すごいいろんな方がいて交流できるのが楽しいなって思ったりします。

笹山 それは十分勉強だと思います。アクティブラーニングの最たるものだと思います。

谷口 そのゲストハウスって、富大の卒業生の方が運営されてます?

学生 そうです。卒業生が運営されているところです。

谷口 その関係で行かれるようになったのですか?

学生 もともと私の兄が旅行したときに泊まっていたゲストハウスだったんです。兄はすごくそこが気に入って、大学生のときに住み込みで働いたりしていました。そして、その時期に私がちょうど入学したので、そのゲストハウスにはよく遊びに行っていました。そこで大学入学前から先輩と知り合いになれたり、いろいろアドバイスももらえたりしましたし、友達ができたりもしました。

笹山 それは素晴らしい。まるでインターンを自分でやっているような感じですね。ありがとうございます。

笹山 何かありますか?

学生 私は特にないですけど、友達としゃべって、カラオケ行こうって言って、カラオケ行って騒いで、ご飯食べて、お金無くなったらバイトして、その日常が楽しいなと思ってます。

笹山 私はそういうのが最初に出てくると思った(笑)。

谷口 それこそ楽しい、とてもいいと思います。

笹山 それでいいと思います。なるほど、なるほど、そうかそうか。みなさんに聞きました?他に何かもしあれば。

学生 やりたいことがありすぎて不完全燃焼な今の状態が楽しいですね。やらなきゃいけないことも含めてレポートとかもやってたら新しい発見があったりとか…。あとは狩猟に興味があるので、その免許も取りたいなと思ってます。

笹山 狩猟?ハンティングですか? 何を狩るの?

学生 野生動物です。

笹山 熊とか?たしかに、富山、最近熊出るよね。

学生 熊は漢方薬に使えるんです。

笹山 みなさん、すごいですね。本当にアクティブっていうか。というわけで、もうそろそろ時間ですね。だいぶ話が弾んでしまいました。お聞きしたいことはお聞きできたかなと思っています。本当に、大変良いことも、悪いことも色々挙げていただいて、本当に有意義だったなと思います。

谷口 なんか、まだ話足りないよとか、大丈夫ですか?また、会ったらその都度、声をかけて下さい。

笹山 我々を見たら声をかけていただいて。とりあえず、いったんここで終了ということにさせていただきたいと思います。今日はわざわざ時間を作っていただき、ありがとうございました。

全員 ありがとうございました。(拍手)